フィールドワーク in 創成イースト:自然と歴史の融合を体験
2025.1.11
ニュース北海道武蔵女子短期大学 斎藤専門ゼミナールの一環として、創成イーストエリアで開催された「さっぱち×さっぽろ下町 まちなかの歴史と自然をたのしむ まち歩きワークショップ」に参加しました。このワークショップは、都市と自然の調和を目指す「サッポロ・ミツバチ・プロジェクト」と、歴史的価値のあるまちなかの活性化を目指す「さっぽろ下町づくり社」が共同で開催。自然と歴史を掛け合わせた新しい都市の楽しみ方を探ることを目的としています。
参加者には、北海道武蔵女子短期大学(9名)、北海道教育大学岩見沢校(2名)、札幌市立大学(2名)、北海学園大学(1名)、開成高校(1名)の学生たちが集まり、さまざまな視点から学びを深める場となりました。
都心養蜂と「サッポロ・ミツバチ・プロジェクト」
今回のワークショップでは、特に注目されたのが「サッポロ・ミツバチ・プロジェクト」の活動です。このプロジェクトは、札幌の中心部で養蜂を行い、都市と自然の調和を図る取り組みです。都市に生きるミツバチがどのように生態系に貢献しているのか、そして、都市部での養蜂がどれほど持続可能なまちづくりに寄与するかを学びました。
ガイドの一人である吉野さんによると、ミツバチたちは大通公園や創成川沿いの緑地帯に咲く花々から蜜を集めており、その活動は植物の受粉を助けるだけでなく、札幌の自然環境の多様性を維持する重要な役割を担っています。さらに、採取した蜂蜜は「札幌産はちみつ」として販売され、地域のブランドとして広がりを見せています。この活動を通じて、都市部でも自然と共生できる可能性を肌で感じることができました。
歴史と自然が交差するまち歩き
ワークショップは、札幌建築鑑賞会の杉浦さんと吉野さんをガイドリーダーに迎えてスタート。最初に北海道神宮頓宮で、創成イーストの歴史や、さっぱちの活動についてのレクチャーを受けました。頓宮は創成川の歴史と密接に関わる場所であり、札幌のまちなかにいながら自然と文化を感じられる空間です。
その後のまち歩きでは、二条市場や創成川、大通公園、愛生舘ビルなどを訪れました。普段は通り過ぎるだけの場所でも、歴史や自然の視点からじっくりと観察することで新たな発見がありました。例えば、創成川沿いでは、植生がどのように都市環境に適応しているかを学びました。札幌の中心部でこれほど豊かな自然が保たれていることに、多くの参加者が驚いていました。
愛生舘ビルでの意見交換
まち歩きの最後には、愛生舘ビルで「まち歩き発見共有ワークショップ」が行われました。参加者たちは、それぞれが気づいた歴史的・自然的な魅力について意見交換を行い、観光プランのアイディアを出し合いました。「都市と自然の共存をテーマにした観光ツアー」や「札幌産はちみつを活用した体験型ワークショップ」など、具体的なプランも提案されました。
特に、都市養蜂の可能性について多くの意見が出されました。例えば、「札幌産はちみつを使った飲食メニューの開発」や「ミツバチの生態を学ぶ教育プログラム」を観光資源として展開することで、地域経済への貢献や環境意識の向上が期待できるのではないかと議論されました。
創成イースト街歩きで得た学びと課題
学生たちの感想を総合すると、今回のフィールドワークでは「創成イースト」の街歩きを通して、新たな発見や学びを得ることができたという意見が多く見受けられました。札幌に住んでいながらも、普段訪れる機会の少ない場所を巡るという発想そのものが新鮮であり、歴史や自然、プロジェクトの要素を掛け合わせた観光プラン作りの重要性を実感した学生もいました。また、植物や歴史についての専門的な解説を聞く機会は貴重であり、ただ歩くだけでなく五感を使って体験することが記憶に残りやすいと感じたようです。
一方で、街歩き中に人数が多かったことや音声が聞き取りづらかったことに対する課題感も挙がりました。例えば、紙を使ったクイズやマイクの活用など、工夫次第で参加者全員がより積極的に楽しめる場にできるのではないかという提案もありました。また、観光プランの作成においては「その土地ならではの歴史や自然を取り入れるべきだ」という気づきや、「歩くことで新しい発見がある」という意見が寄せられ、徒歩移動や公共交通機関を活用したプランの重要性を再認識する学生も多かったです。
最後に、街歩きで感じた点や考えたアイデアを共有する場について、時間が足りなかったという指摘もありましたが、「自分とは異なる立場や視点からの意見を聞けることが刺激的だった」という意見も多くあり、参加者同士の交流や意見交換が学びを深める重要な機会になったようです。今回のフィールドワークは、札幌の魅力や可能性を改めて感じるとともに、観光プラン作りの新しい視点を学べる有意義な体験だったといえるでしょう。
今回のフィールドワークでは、創成イーストエリアの歴史や自然の奥深さを学ぶとともに、都市の持つ新たな可能性を再発見する機会となりました。特に、都市養蜂という一見意外な取り組みが、持続可能な社会づくりや地域ブランドの強化につながっていることを知り、学生たちは「まちなかの魅力の発信には無限の可能性がある」と感じたようです。
このような体験を通じて、学生たちは単に知識を得るだけでなく、札幌という都市の持つ潜在的な魅力を活かす方法を考える力を養うことができました。創成イーストのフィールドワークが、今後の観光プランやまちづくりにどのように活かされていくのか、非常に楽しみです。
北海道武蔵女子短期大学
准教授 齋藤 貴之